2007年 02月 04日
S5Proテスト撮影レポート
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1月31日に、ついにFinePix S5 Proを購入しました。
開発の発表があってから待つこと数ヶ月、
ずいぶん待ったような、
でもあっという間だったような気がします(笑)
というわけで今回はこのS5Proの個人的レビューを行います。
・・・と、その前にS5Proで撮った原寸画像を、
こちらのアルバムに用意しました。
全てjpegノーレタッチ、原寸で、
若干データサイズの圧縮だけしてあります。
またシャープネスはあえて全てOFFにしてありますので、
興味があれば適宜ご自身のレタッチソフトで
アンシャープマスクをかけてみて下さい。
↓
◆S5Proテスト撮影◆
では以下に私のレポートをお送りします。
◆ 1.ダイナミックレンジ ◆
まずはこの機種の表向きの目玉機能とも言える、
ダイナミックレンジがどれぐらい広いのかを、
実写画像でお見せします。
以下は、上記のテスト撮影アルバムに原寸でアップしてある、
【5段階ブラケット】の写真をリサイズし、
アンシャープマスク処理のみしたものです。
被写体は直射日光があたる白いスイセンです。
この撮影で使ったSIGMA MACRO 70mm F2.8ですが、
S3ProやS5Proでは露出オーバーになる傾向があります。
なので露出補正0.0EVですでに適正露出と言えますが、
そこからさらに+1.3EVまではほとんど白飛びせずに
粘り続けていることがわかります。
(おそらく+1.7EVで白飛びが本格的に始まったと思います。)
今回はjpegですが、これがRAWで撮ってあれば、
一見白く飛んでいそうなところでも、
RAW現像時に露出補正をマイナスに持って行くだけで、
階調が完全に復活できます。
ここまで白飛びに強いとポジフィルムはすでに超えていて、
さらにRAWで撮ればネガフィルムに近い使い方も可能だと言えるでしょう。
なお、S3Proを使っていたときの経験では、
直射日光の当たる白い花や雪であれば余裕の描写をしますが、
陽の当たる金属の光沢や、夜景での点光源の中心部、
または太陽を撮ると、さすがにしっかりと白飛びします。
S3ProとS5Proはダイナミックレンジはほぼ一緒だと思うので、
この点、過剰な期待はしない方が良いです。
※なお、他機種との比較は今月号のデジタルカメラマガジンに
掲載されており、それによれば他メーカーの大半の現行機種よりも、
だいたい+1.3EVほど白飛びしにくいようです。
※過去に私がS3ProとNikon D70とで
ダイナミックレンジ比較をした際は+2EV以上の差が出ました。
◆ 2.高感度ノイズ ◆
次に高感度のノイズを見てみます。
◇ A. S3ProとS5Proの比較 ◇
まずはS3ProとS5Proの比較です。
なお、S5Proではノイズリダクションのかけ具合を
『標準(STD)』または『弱(ORG)』の2段階から選べますが、
『弱(ORG)』に設定して比較してみました。
以下は先のアルバムにアップしてある画像の、
一部分をトリミングしたものです。
左がS3Pro、右がS5Proです。
(以下全てクリックすると大きくなります↓)
※ISO 3200はS3Proにはないため、比較せず。
【比較してみて気づいた点】
まず驚いたのが、ノイズの量そのものは、
S3ProもS5Pro(ノイズリダクション:弱)も
ほぼ同じということでした。
このように並べてみて初めて気づいたことです。
ですので、S3Pro以上にノイズの少なさを求めるなら、
ノイズリダクションの設定は『標準(STD)』にすべきだと言えます。
ただ、よく見るとノイズの質が違っています。
よく見るとS3Proはノイズに黄色や青などの色ムラが出ているのに対し、S5Proはノイズの色ムラ自体はほとんどなく、黒っぽいノイズになっています。
この意味ではS5Proの方が若干進歩している、と言えるかもしれません。
なお、ノイズの量そのものですが、
S3ProもS5ProもISO 400までは普通に常用可能、
ISO 800も場合によっては使っても良い、
というレベルであると言えるでしょう。
◇ B. S5Proでのノイズリダクションの強弱による違いの比較 ◇
S5Proのノイズリダクションは先に述べたように、
『標準(STD)』と『弱(ORG)』の2段階の設定ができますので、
それぞれでの比較もしてみました。
左が『弱(ORG)』、右が『標準(STD)』です。
(以下全てクリックすると大きくなります↓)
【比較してみて気づいた点】
ISO 100/200では変化がないだろうということで、
テスト撮影は省略しています。
ISO 400では良く見ればわずかに違いがある程度です。
ISO 800からノイズリダクションがかかっているのがわかります。
ISO 3200まで行くと明かな効果がありますが、
ディテールも失われつつあります。
取扱説明書では、通常は標準(STD)にして、
星の撮影では弱(ORG)が良い、との説明書きがありましたが、
実際その通りかもしれません。
いずれにせよ、
S3Proよりも進化したと言われる高感度ノイズの少なさを実感するには、
ノイズリダクションを標準(STD)に設定しておくことが必須と言えます。
とりあえず私は標準(STD)の設定にしておこうと思います。
◆ 3.データ書き込み速度(S3Proとの比較) ◆
バッファフル状態になってからコンパクトフラッシュへ
データ書き込みが完了するまでの時間を、
S3ProとS5Proとで比較してみました。
なお、S3Proはバッファ増設モデルで、
RAWが7枚連続で撮れます。
一方S5ProはRAWが連続8枚撮れます。
1枚だけ差がありますが、
どちらもバッファフルになってから計測を開始しました。
条件は両者とも以下の通り。
・コンパクトフラッシュ:Sandisk Extreme III 2GB
・ダイナミックレンジ:ワイドモード
・記録モード:RAW
【結果】
S3Pro: 91秒
S5Pro: 27秒
圧倒的に速度が向上しています。
S3Proユーザーとしては朗報ですね。
というよりS3Proが遅すぎるだけかもしれません(苦笑)
◆ 4.その他 ◆
シャッターフィーリングは快感といってもいいぐらいに良くなっています。
ただ連写は、ダイナミックレンジ:ワイドモードだと約0.7秒間隔に
なってしまいますので、動き物はかなり苦手と言えるでしょう。
この点はS3Proとほとんど一緒です。
データの量は非常に重く、ワイドモードのRAWで1枚約25MBも使います(苦笑)
S5ProになってJpeg同時記録が可能になったのは助かるのですが、
これでますますデータ量が増えてしまいます。
RAW+Jpeg同時記録だと1GBのコンパクトフラッシュで
なんと32枚しか撮れませんので(汗)、RAW撮影をメインに
する場合は4GBのコンパクトフラッシュが2枚は欲しいところですね・・・。
また、RAWデータをPCで処理するにも、独自のCCDの構造ゆえか、
どのソフトを使ってもかなり処理に時間がかかりますので、
かなりのPCスペックでない限り、Jpegの方がいろいろと良いのでは、
と思います。
(私はRAW+Jpeg同時記録で撮るつもりでいます。)
なお、私がS3ProとS5Proを使っていて一番良いと思っているのは、
発色と階調表現の豊かさです。
ダイナミックレンジの広さが注目されやすいのですが、
これも階調表現を豊かにするためにこそあると言えるでしょう。
発色の美しさや、また優れた階調表現があるからこそ、
私はS3Proを使ってきましたし、
また今後はS5Proをメインに使うつもりでいます。
いろいろ特徴のあるカメラゆえに、
撮影者や撮影ジャンルを選ぶとも言えますが、
少なくともマクロやポートレート、
また解像感こそ他の最新機種に劣るものの風景撮影にも
向いているのではないかと思います。
最後に、私はS5Proを買って大満足です(笑)
以上、長文をここまで読んで下さり、どうもありがとうございましたm(_ _)m
by stf_y
| 2007-02-04 01:20
| 撮影機材・方法ほか